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【VALORANT】CSGOの競技シーン出身者に勝つためには -第5章- 攻撃側の情報取り

 

本連載記事は旧コンテンツです。

新バージョンを下記にて連載予定です。

amboxambo.hatenablog.com

 

これの続き 

amboxambo.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

5種類の攻め方

  

③スタンダード

 

情報取りの戦術として最も基本的な作戦として【スタンダード(Standard)】が挙げられます。

名前からして基本的ですね。

 

byrrice氏(2017)は、スタンダードについて以下のように定義しています。

Defaults vary from map to map, but the general concept is the same. Defaults at their core are about gathering relevant info, holding for CT aggression(中略)and maintaining a presence around the map.(中略)In general, when you don’t have any info or are not comfortable with what the enemy side is doing (their buy, utility usage, CT setups, AWP location, etc.), a default is a good strategy to call in order to reduce the risk.*1

クソ翻訳:スタンダードはマップによって異なりますが、一般的な概念は同じです。どのマップでも核となるスタンダードは、情報収集防衛側の侵攻への対応、(中略)マップのあちこちで存在感を保持し続けることです。(中略)一般的に、敵は武器を買っているのか、ユーティリティはあるのか、初手配置は何か、スナイパーの場所はどこかなど、ラウンド開始時に敵の情報が何もない際、リスクを減らすために、スタンダードを実行するのは良いことです。

 

つまり、リスクを減らすために情報を取り、最終的には得られた情報を元にして最適な作戦を組み上げるのです。

 

(スタンダードの応用方法については12章にて)

 

 

情報を取るとは

 

情報の重要さが一番分かりやすいのはアンチエコラウンドでしょう。

敵がピストルの場合、ワンチャンに賭けて変な配置を取っている場合が少なくないです。

 

ワンチャン例

  • ショーティー・バッキーで前目角待ち
  • 5人全員でサイト賭け守り(これを【スタック】と呼ぶ)
  • 5人全員で初手プッシュ(これを【逆ラッシュ】と呼ぶ)

 

逆ラッシュがないことを確認した後、ショットガンがいる可能性のある危険なエリアを避けて侵攻した例

RAGE VALORANT JAPAN INVITATIONAL Lag Gaming vs. Jupiter [ASCENT]

14ラウンド目

ショーティーの危機から見事に免れています。 

 

 

Aスタックでないのを確認した後、A攻めした例

eGG esports challenge G-Tune VALORANT INVITATIONAL Absolute JUPITER vs. FAV gaming [BIND]

2ラウンド目

武器差のあった防衛側は賭けのBスタックでしたが、攻撃側は時間をかけてセーフティに情報を取りながら攻めつつ、設置フェイクなども交えながらとても神経質にA攻めを行います。

 

 

FaZe Clan Invitational Team SoloMid vs. Sentinels [ASCENT]

2ラウンド目

防衛側はB逆ラッシュでしたが、攻撃側は広がってリスク分散させていたため、サイファだけの犠牲で済みました。

さらに、セージが防衛側スポーンまで詰めて、おそらく敵は切り返していてB中はクリアだろうとの情報を得て、B攻めを決行します。

 

 

バインドのA勝ち確設置の別解

エリアを広く取ることで多くの情報とキルを獲得できた例

eGG esports challenge G-Tune VALORANT INVITATIONAL Absolute JUPITER vs. FAV gaming

11ラウンド目

全てのエリアを確保してからBサイトにアクションをかける。

→防衛側ジェットがスポーンからBサイトに侵入 + ソーヴァがスポーンからショックボルトを打っている=多くの選手がAを外している? B攻め難しそう? 

→情報を得るためにAシャワーのフェニックス、Aショートのレイナ、Bエルボーのジェットがそれぞれ詰める。結果、フェニックスがキルを獲得。

→スパイクがまだBにあるので、安直なA攻めを選択せず、さらに確実な情報やキルを得るためにそれぞれが行動。

ジェットキルジョイを視認。あ、やば、これB固まってそう、ワープ。

→安全にAを確保してから勝ち確設置

 

 

CSGOの例 

IEM Katowice 2020 G2 Esports vs. Natus Vincere [Dust2]

10ラウンド目

このマップでは、防衛側はB挟みをガン無視する配置B挟みを警戒する配置の2種類があるのですが、

詳細↓

amboxambo.hatenablog.com

防衛側のnexaという選手が銃声を立てたため、B挟み警戒配置であることが判明します。

つまりAサイトは薄いだろうと予想し、A攻めを決行するのです。

 

(本質:防衛側のkennySという選手がスナイパーでA前目に抑えており、nexaは彼にキル機会を与えるため、わざとAが薄いという情報を与えて、相手をAに誘導していたのですが、その誘導に簡単に乗らなかった攻撃側が一枚上手だった、という深いプレイ)

  

 

 

 

 

マップコントロール 

 

時には、情報を得るためにサイト近くまで忍び寄る必要があるため、マップコントロールと併用されることが多いです。

特に「ミッド」「センター」などと呼ばれるマップ中央に大きなエリアがあるマップでは、マップ中央のエリアを確保することでより多くの情報を手に入れることができます。

 

  

RAGE VALORANT JAPAN INVITATIONAL Lag Gaming vs. Jupiter [ASCENT]

2ラウンド目

武器差が大きかったのにも関わらず、攻撃側はなぜ勝利することができたのでしょうか。

それを解明するには、マップコントロールがどのような効果を生み出したのかを考える必要があります。

 

マップコントロールの過程

①ミッドにスカイスモークを炊き、ゲート奥まで確保します。

f:id:amboxambo:20200714172627j:plain

 

②さらに奥にスカイスモークを炊き、相手にB挟みを警戒させる配置を取らせます。

f:id:amboxambo:20200714173441j:plain

そしてB挟みができる状況を作った上で、この瞬間にA挟みを決行するのです。

その理由は、Bを警戒された状態でそのままB挟みをすると失敗する可能性が高いからです。

 

攻撃側ソーヴァがB側にいると仮定して、このままB挟みすると以下のような盤面になることが予想されます。

一例

f:id:amboxambo:20200714174627j:plain

このように、防衛側がB挟みを警戒している状態でB挟みを決行すると、図のように待ち受けられていたり、挟み返される可能性があるのです。

 

ゆえにこの状況では、敵が少ないと考えられるAへ攻めることが最適でしょう。

 

 

マップコントロールをする際に覚えておくべき2箇条

  • そのマップコントロールで得られる効果は何か(つまり相手はどのような行動を起こすのか)
  • そこから考えられる最適な攻め方はどんなものか

これがマップコントロールの本質です。

この2点を常に考えながら作戦を組み立てましょう。

 

 

発展

 

スタンダードやマップコントロールで大事なことは、その行動は何を目的としているのかをしっかり理解することです。

 

これはCSGO出身者でもよく起こりうる間違いなのですが、例えばミッドを取る作戦があった場合、ミッドを取る手法ばかりに気を取られ、なぜミッドを取るのかといった目的をチーム内で共有できていないことが多いです。

 

 

特に、経験の浅い選手によって構成されたチームだと、

ミッドを取る → ミッド取れたー! でどうすんの?

といった事態が起こりやすいです。

 

A挟みに繋げるためのミッド取りなのか、敵の配置を読み取るためなのか、そういった本質的部分が曖昧だと、サイトへの攻め方がおざなりになり、スタンダードで開始したラウンドの勝率が安定することはないでしょう。

 

 

そこで大事なのが、【IGL(In-Game leader)】【指揮官】【司令塔】【プレイメーカー(Playmaker)】【ショットコーラー(Shot Caller)】などと呼ばれるチームリーダーの存在です。

 

チーム内で意見が錯綜したり、作戦の目標が不明瞭な場合、それを明確にしてまとめる人が必要です。

そのためには、最大権限を持っている指示厨であるリーダーの存在は不可欠です。

 

FalleN氏(2016)は、スタンダードの終わらせ方について以下のように提案しています。

So normally, when you are doing a default, you have those guys trying to get info.(中略)And then after getting some kills or some info, the captain and the in-game leader try to finish the round on a certain way.*2

クソ翻訳:通常、スタンダードを実行しているときは、情報を取ろうとしているプレイヤーがいます。(中略)そして、いくつかのキルや情報を元にして、リーダーはラウンドを終わらせる方法を提示するのです。

 

また、byrrice氏(2017)も同様に、以下のように主張しています。

Eventually, with the info that you gather, the various picks or losses you have, and the utility that you hold onto, your IGL will call a later round strategy to take more map control or finally execute onto a site.*3 

クソ翻訳:最終的に、手に入れた情報、人数状況、残っているユーティリティなどを考慮して、リーダーはラウンドの終わり頃に更にマップコントロールを行なうのか、またはサイトにセットアップで攻めるのかを決めます。

 

このように、スタンダードを終了してチームメイトを集合させ、最終的にサイトへ攻めるためには、チームを先導してくれるリーダーの存在不可欠なのです。

 

 

これらを鑑みて、私は「チーム内で目的が共有できていないこと」に対する解決策として、リーダーがコールすることが一番の解決策だと考えています。

 

例えばバインドで

「このラウンドでは最終的にAセットしたい。でも相手にA確定されたくないからAシャワーだけじゃなくてB窓も取っておこう。最後にオウルドローンでAショートからクリアリングして、敵が少なそうならそのままスカイスモークでAに攻めよう」 

というコールをした場合、まず

  • Aシャワーは絶対に取らなければならない
  • ソーヴァブリムストーンは最終局面まで絶対に死んではいけない

以上の2点が味方に伝わると思います。

つまりスタンダード段階で先陣を切って攻めていいのは、ソーヴァとブリムストーン以外の選手となります。

 

しかしこのスタンダードを行う際に障壁となるのが、相手がB窓部屋に厚く配置してそうだと分かった場合です。

 

「最終的にA攻めするのだから、B窓を無理に取る必要はない」と考える人もいれば、

「B窓が取られている → 本命Bではないのが確定されている → A4-B1とか極端な配置になる可能性がある → だからB窓を無理してでも取った方がいい」と考える人もいるでしょう。

 

 

CSGOの例

攻撃側がB側にアクションをかけるも、B側のエリアが広く取れなかったため、防衛側の配置がA2-B3からA4-B1になった例

ESL One New York 2019  Evil Geniuses vs. Astralis [Inferno]

8ラウンド目

 

このように、最終的にAへ攻める場合でも、B側のエリアを確保しておくことは重要です。

 

このような状況に陥った場合、チームメイト内で意見が錯綜するはずです。

しかし、私ならこうコールします。

 

「窓を無理に取る必要はなさそうだね。なぜなら、オウルドローンでA側の状況を安全に確認できるから。もしドローン視点でA多そうなのが分かったら、その時点ではBは薄いはずだから、すぐに窓を取ってB行こう」

 

つまり「窓を取るな」という意思表示をチーム全員に伝えます。

 

akioni氏(2017)は指揮の目的について以下のように説明しています。

指揮官のいちばん大事な仕事はチームの迷いを拭い去ること。指揮の内容が正しいかどうかは対人ゲームである以上ある程度運に左右される。そこは求めても限界があると思う。迷いをなくすことは簡単。ゴールと道を決めればいいだけ。正しいかどうかじゃない決めるだけ。どっちに攻めるのか、いつ頃動くのか、チームを分けて動かすのかどうか、分ける場合そのルートと人数 この4つを伝えればチームの動きが自然と滑らかになる。
慣れてきたらもっと細かな注文を入れてもいいと思う。ゴールが決まっていればどこまでアドリブで動いて良いのか分かりやすい。*4

 

また、Xizt氏(2020)は、リーダーの役割についてこう主張しています。

You need to have a good understanding of the game and be calm, collected, and firm. Even if you are not 100% sure it's going to work, you need to "fake" it to your team so they believe in you and in your call.(中略)The “fake” call comes into play there: even if you’are not sure if what you’re calling is the best strategy*5

クソ翻訳:あなたはゲームを理解し、平静・冷静・堅固である必要があります。あなたの作戦が100%上手くいくと確信していない場合でも、嘘を吐いてチームメイトに信用してもらう必要があります。(中略)あなたの指示が最高の戦略か確信が持てない場合に、嘘のコールが用いられることがあります。

 

 

このように、リーダーはチーム内での作戦意図・目的を統括することで、意義の薄いプレイを削ぎ、勝利へと導くのです。

 

 

まとめ

  • スタンダードでは情報を取ったり、マップコントロールを行う。
  • スタンダードを行う際は、リーダーの指示が大事。

 

 

次 フェイク

amboxambo.hatenablog.com

 

 

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