【VALORANT】CSGOの競技シーン出身者に勝つためには -第11章- スタンダードの組み立て
本連載記事は旧コンテンツです。
新バージョンを下記にて連載予定です。
これの続き
スタンダードの組み立て
この章では、YamatoN氏(2020)が「お手本みたいなチーム」「チームゲームの教科書」*1と称していた SunSister Rapid の試合から、スタンダードの組み立てを紐解いていきたいと思います。
SunSister Rapid の実践例
マップはバインドです。
バインドで一番強い作戦(第一次戦術)はA挟みからのA勝ち確設置です。
(Bの勝ち確設置は難易度が高い これらの詳細は3章)
よって、SunSister Rapid はこの試合にて、A勝ち確設置ができるのか(つまりオプティマムは第一次戦術なのか)どうかをスタンダードを通じて見極めていくのです。
第一段階 情報取り
RAGE VALORANT JAPAN INVITATIONAL Crazy Raccoon vs. Sunsister Rapid [BIND]
3ラウンド目(1stバイラウンド)
まずはマップコントロールを行い、以下のエリアを確保することで敵の傾向を掴みます。
このラウンドで分かったことは、
- A側は積極的エリア確保が行われない。Aシャワーの出口すら抑えてこないほど、かなりパッシブな配置である。
- B側は前目でキルを狙ってくる。(1:18でオーメンがワープフェイクをしているので、窓だけではなくロングも取られていることも把握している)
以上の2点です。
つまり簡単に第一次戦術のA攻めが刺せそうということが判明します。
そして更なる情報を得るために、次のラウンドではBへアクションを掛けるのです。
4ラウンド目(2ndバイラウンド)
同じ範囲のエリア取りですが、3ラウンド目と違う点は、ソーヴァがAショートに残り続け、B側に強いアクションを掛けても敵がAの消極的エリア確保を行ってこないことを確認している点です。
つまり、このラウンドでもA側は引き目で守っている(=第一次戦術が刺せそう)という情報を得ることができました。
残念ながらこのラウンドは敗北し、次にエコラウンドを挟むのですが、ここで10章の Sentinels と同様に初手から第一次戦術をぶつけて勝利を狙うのです。
第二段階 得た情報の調理
5ラウンド目(エコラウンド)
4人がピストルだったのにも関わらず、設置場所を効果的に使って見事勝利を収めました。
以上のラウンドでの経験を踏まえて、敵が第一次戦術に対して一向に対策を講じてこないことに気付きます。
それを踏まえての次のラウンドです。
7ラウンド目(4thバイラウンド)
もはやBのエリア取りを行いません。
なぜなら、Aに行くためにBのエリアを取る必要がないと情報を得たからです。
攻撃側はとりあえずスタンダードで防衛側にB窓が取られているという情報を得つつ、B逆ラッシュのような尖った作戦でないことを確認したのち、再びA挟みを行って勝利を掴みます。
本当はいつまでも第一次戦術を行い続けることができるのですが、次のラウンドではとある事情でB攻めを行うのです。
9ラウンド目(5thバイラウンド)
B攻めのためのマップコントロールを行い、エリアが取れた後はそのままB挟みを行います。
なぜA攻めをしないのかと言うと、おそらくブリムストーンのアルティメットが溜まっているからです。
Bで勝ち確設置を行うためには、より広い範囲のエリア確保が重要なのは3章でも述べた通りです。
しかし、オービタルストライクとペイント弾を使うことでサイト裏を完全にクリアリングできるため、B攻めの懸念材料である広いエリア確保を難なく行うことができるのです。
(逆に言えば、オービタルストライクが無ければBに行きたくないというのが SunSister Rapid の考え方? 知らんけど)
つまり、オービタルストライクが使える状況下では、A挟みに取って代わってB挟みを第一次戦術として作戦を組み立てることができるのです。
また、Aばかり攻めた後にB攻めを行うことで、敵に予想されにくい意外性のある指揮構成を構築できるといったメリットもあります。
そして次のラウンドでは、オービタルストライクがないためセオリー通りA挟みを行います。
11ラウンド目(6thバイラウンド)
エリア確保からのA挟みを行っています。
しかし、防衛側ブリムストーンの配置が少し違うことにお気付きでしょうか。
今まではサイト裏で守っていたのにも関わらず、このラウンドでは小部屋でカウンターを行ってきたのです。
このラウンドではオービタルストライクによって事なきを得ますが、次にA挟みを行うにあたって懸念材料になるでしょう。
更なるカウンターとしてセージがカバーに加わってきたとすれば、Aショート攻めは失敗するかもしれません。
よって、ここにきてようやく【オプティマム】を行うのです。
12ラウンド目(前半最終ラウンド)
この敵に対するオプティマムはBロング攻めです。
敵がB窓を強く取ってくる傾向が見られることはこれまでの情報取りによって分かっているので、警戒が薄いであろうBロングから一気に攻め入るのです。
この試合での指揮構想をまとめると、以下のようにシンプルに表せます。
10章の例よりも簡潔ですね。
競技シーン未経験の方は「プロは試合で何をしているのか分からない」と仰ることが多いのですが、このように作戦の組み立てを紐解いていくと、非常にシンプルであることが分かるでしょうか。
余談
上では更に詳細を述べられませんでしたが、余談として記載しておきます。
防衛側による第一次戦術のカウンターはAシャワー制圧です。
このようにシャワーの入り口にスモークを使うことで威圧できる他に、
シャワー制圧の例
Faze Clan Valorant Invitational Team SoloMid vs Cloud 9
15ラウンド目
PAX Arena Invitational - Sentinels vs. Cloud 9 [Bind]
19ラウンド目
これに対する第二次戦術はAショートファストです。
小部屋からサイトに入ってトリプルに設置することで、シャワーやテトリスからの射線を切りながらオープン設置することができます。
みんな、もっとシャワー取ってね!
じゃないとAショートファストが使えなくて、この作戦が強いのか弱いのかどうか分からん!w
2020年9月追記
ついにシャワー取ってきました!
EDION Valorant Cup - BlackBird Ignis vs. Reject [Bind]
9ラウンド目
AfreecaTV Asia Showdown - Vision Strikers vs. Absolute JUPITER [Bind]
4ラウンド目
次 より高度なスタンダード TSM式・フェイク・ルーズスタイル
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