T有利マップ Dust 2 でのCTの抗い方 -第1章- なぜT有利なのか
注意:連載中 未完成記事
2020年3月21日 初版
その後 加筆修正を繰り返し、6月10日のマップ変更アップデートを期にとりあえず完結。
全9章。約3万8000字。
読破所要時間 目安:1時間35分
筆者が時間を計測しながら推敲したところ、3時間44分(読むの遅い)
導入
初めまして。
バグで未だにVALORANTがインストールできないアンボと申します。
ところで、Dust 2 はよく「エイムマップ」と揶揄され、連携(笑)を重視する日本のCS界隈では人気がありません。
あまりプレイされないため、マップ知識が無かったり基本的なセットを知らない人も多く、特に如何にテロリストの攻勢を耐えきるかの手法を知っている人は数少ないです。
そんな中、Bトンネルの skybox が排除され、更にT有利になりました。
日本人で一緒に回してくれる人はもういないです。
ところで、あなたは Dust 2 から逃げていませんか?
エイムマップは大嘘です。
私は、Dust 2 は FPS の基本をふんだんに使う「立ち回りマップ」だと思っています。
もっと尖った表現をするなら「Dust 2 ができない = CSGO の IQ が低い、ゲーム理解ができていない」とまで言い換えることができます。
そこで今回は、Dust 2 での戦い方を少しでも理解して欲しく、CTの抗い方をプロの試合から多く参照し、いくつか提案したいと思います。
対象
〇健康で文化的な最低限度のエイムを身に付けている人
横向いている敵を確実に仕留めたり、素ピークしてくる敵をAWPで抜いたり、取れて当然のキルを落とさない人のことです。
Aim Botz の KPM が2億あるとか、FFA で K/D 割らないとかではないです。
〇FPS の基本を理解している人
敵味方の射線を常に管理でき、クロスファイア配置、釣り・カバーなどが理解してる人のことです。
知らない人はこれ↓読んだら全て分かります。
分からなかったら、貴方には Dust 2 はまだ早いです。
具体的に対象ランク帯を言うなら、ソロでDMGいける実力くらい?
知らんけど><
バックナンバー
2022年8月27日版
お詫び
リファレンスを偏らせたくないため、なるべく色々な時期・チームの試合を載せるつもりですが、執筆時期に開催されていた「IEM Katowice 2020」「ESL Pro League Season 11」「ESL One Road to Rio」の比率がどうしても多くなってしまいました。許せ。
Dust 2 とは
まず知識や事実の共有を行います。
マップ
私は適当に漠然とこのように呼びます。
今後はこの名称を使用していくので、確認のほど宜しくお願いします。
(章が変わる毎に載せる予定です)
圧倒的T有利の理由
色々あります。
ロングラッシュしてくれ! と言わんばかりのマップ構造
Tベースからロングの空向かって適当にぽいぽいFBを入れるだけで、ロングにいるCTはブラインドになります。
また、T専用の一時避難場所である青箱が用意されていたり、対角にスモークを入れることで後続が撃たれなくなったりと、Tにとってロングラッシュは効率の良い攻め方です。
例
ESL Pro League Season 10 Finals Astralis vs. G2 Esports
23ラウンド目
無血でロングを取ることができました。
ラウンド開始15秒で投げられたフラッシュの総量は8個。
左上のミニマップで見ると、その凄まじさが分かりやすいです。
また、中途半端に争ってしまうと、人数差が大きいので返り討ちに遭う可能性が高いです。
IEM Katowice 2020 Natus Vincere vs. Liquid
15ラウンド目
ラウンド開始15秒で投げられたフラッシュは9個。
ロングの Twistzz は目が見える瞬間が一度たりとありません。
UTAGE Japan League Season 2 Absolute vs. Ignis
9ラウンド目
ラウンド開始7秒で投げられたフラッシュは6個。
論点①
初手ロング攻めに対する抗い方を覚えよう。
Tが先にセンターを覗ける
Tは相手がB側へクロスした人数を見ることができる(初手配置を見れる)ため、CTはクロス数を見られないためにドア前にスモークを炊くのは必須です。
(B側へクロスした数が1人だと、A側4人と容易に予想できる)
また、プロレベルだと初手のクロス時にAWPで抜いてくるので、事故を防ぐためにも初手のスモークは必須と言えるでしょう。
UTAGE Japan League Season 4 Ignis vs. team entry
13ラウンド目
これはギルティ
ESL Pro League Season 11 Astralis UNIBET vs. Fnatic
7ラウンド目
スモーク炊いたのに事故った^^;
Tがセンターを取れるとどうなるか
→CTが何も対策を講じなかった場合、ショートまで無償で取ることができる。
ESL One Cologne 2015 Fnatic vs. EnVyUS
5ラウンド目
ESL One Katowice 2015 Fnatic vs. Ninjas in Pyjamas
27ラウンド目 Tエコ
Tはエコでしたが、ラウンドに勝利しています。
Asia Minor East Asia Closed Qualifier - StarLadder Major 2019 Ignis vs. Absolute
8ラウンド目
どれも初手ロング攻めの対策としてロングに人数を割いているので、初手はセンターに意識が向いていません。
→ショートラッシュまで気が回らない。
論点②
初手ショート攻めに対する抗い方を覚えよう。
ここである1つの疑問が浮かびませんか?
結局、敵の本命がロングかショートか分からないなら、Aサイトで迎え撃てばいいのでは?
いいえ、敵の本命が分からないうちはAサイト中で絶対に待ってはいけません!
なぜならこのマップは隠れる場所が少ないため、サイト内の強ポジは確定で燃やされるか、スプリット(挟み)で死角を完全に潰されるのです。
例
IEM Katowice 2020 Natus Vincere vs. Liquid
6ラウンド目
セットモロトフです。
隠れられる場所は全て焼却されています。
ECS Season2 Ninjas in Pyjamas vs. Dignitas
25ラウンド目
ロングを無視してサイトを挟み込むセットプレイ(降りるセットと呼ばれる)です。
IEM Katowice 2020 G2 vs. mousesports
29ラウンド目
降りるセット + セットモロトフ
Aサイトの nexa が隠れられる場所はもはやありません。
ESL Pro League Season 8: Finals Natus Vincere vs. Liquid
3ラウンド目
A挟みです。
サイト内に隠れてた electronic が炙り出され、エレメントに隠れていた Edward と共に容易くキルされています。
ELEAGUE Major: Atlanta 2017 Fnatic vs. mousesports
25ラウンド目
ロングラッシュ + ショート攻めのA挟みで、ショートに固まっていたCTは為す術なく敗北しています。
また、隠れる場所がないためにフラッシュも食らいやすく、以下のように為す術なく敗北することがあります。
IEM Katowice 2020 Evil Geniuses vs. 100 Thieves
27ラウンド目
サイトの CeRq、tarik は敵を見ることなくキルされました。
IEM Katowice 2020 Natus Vincere vs. Fnatic
9ラウンド目 Tエコ
サイト内の KRIMZ は敵を視認できていません。
論点③
Aサイト内での最終抗戦方法を覚えよう。
CTがAを固めた際のB攻め
A守りを固くした際に障壁になるのがB守りです。
Aに人員を割いた場合、Bが薄くなるのは当然です。
IEM Katowice 2020 Natus Vincere vs. FaZe
9ラウンド目
Boombl4 目線、ショートの敵が攻めるのが早すぎるので、敵のショートブーストが確定し、ほぼ推測ですがA3-広場1-B1が確定します。(ショートブースト2人の定石。詳細は後述)
IEM Katowice 2020 Natus Vincere vs. FaZe
9ラウンド目
初手ロング4人配置だったので、相手のB攻めに全く対応できていません。
IEM Katowice 2020 Fnatic vs. G2 Esports
24ラウンド目
Ураааааааааааааа!!!!
剛毅! 鞏固! 堅忍不抜のラッシュB!!!!!!!
IEM Katowice 2020 G2 Esports vs. Liquid
27ラウンド目
もはやサイト中には誰もいません。
DreamHack Masters Spring 2020 Fnatic vs. FaZe
19ラウンド目
CT側は初手B2配置を取っていましたが、相手のBラッシュに全く対応できませんでした。
論点④
ラッシュも含めたストレートなB攻めに対する抗い方を覚えよう。
実はBトン攻めを止めるのはあまり難しいことではありません。
B守りの真骨頂は広場攻め・B挟みとリテイクにあります。
IEM Katowice 2020 G2 Esports vs. mousesports
15ラウンド目
ESL Pro League Season 11 OG vs. Fnatic
19ラウンド目
どちらもB3でしたが、広場攻めに抗うことができなかったです。
B守り2人目が広場を警戒しすぎたせいで、トンネル攻めをカバーできなかった例。
ESL Pro League Season 4 Cloud9 vs. SK Gaming
18ラウンド目
IEM Katowice 2020 Natus Vincere vs. FaZe
15ラウンド目
このように戦力が分散してしまうとB守りが崩壊する可能性が上がります。
ただし、ソロでの撃ち合いが強い選手が広場を警戒していた場合、ビックプレイが発生することもあります。
ESL Pro League Season 11 Final Fnatic vs. mousesports
20ラウンド目 ropz
しかしこのプレイは個人技に大きく依存してしまうので、この記事ではこのプレイにカバーを加えた手法を提案します。
リテイク
ECS Season 8 Liquid vs. ATK
5ラウンド目
CT側はロング4人配置で初手配置じゃんけん完全敗北の中、リテイクで見事勝利しました。
ESL One Rio 2020 East Asia Closed Qualifier Ignis vs. MVP PK
28ラウンド目
3 on 5 の絶体絶命シチュエーション下で、Ignis は見事リテイクを成功させ、ラウンドを勝利に導きました。
論点⑤
広場攻めに対する抗い方を覚えよう。
Bリテイクの手法を覚えよう。
ショート攻め ↔︎ 広場攻めのローテーションが一瞬
TのA攻めからB攻めのローテが爆速なのが Dust 2 の特徴です。
プロレベルでは最終局面に爆弾が見えるまでどちらが本命か分かりません。
IEM Katowice 2020 Astralis vs. Natus Vincere
5ラウンド目
Aセットした後にBからの寄りを Perfecto がキルしたため、臨機応変にBへ切り返しました。
ECS Season 8 Liquid vs. ATK
13ラウンド目
36ラウンド目
Aセット → 広場攻め
フェイクで相手を揺さぶり続けた例。
UTAGE Japan League Season 2 Absolute vs. Ignis
3ラウンド目
ロング攻め → 広場攻めフェイク → ショート攻め
IEM Katowice 2020 Natus Vincere vs. Liquid
22ラウンド目
広場攻め → Bトン攻めも一種のフェイクです。
flamie は存在しない広場の敵に怯えて、動きが窮屈になっています。
論点⑦
敵の本命を確定させる方法を覚えよう。
続き↓